パートやアルバイトをしている方で、社会保険を夫や親の扶養に入ったままで働きたいと考えている方も多いと思います。
そこで問題となってくるのが、「106万円の壁」と「130万円の壁」です。
この言葉自体は聞いたことがある方もいると思いますが、内容まで理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
ここでは、社会保険の扶養の条件について解説していきたいと思います。
自分の職場で被保険者になると扶養に入れない
大前提として、自分がパートやアルバイトをしている職場で被保険者(社会保険に加入する人)になると夫の扶養となることはできません。
これは、自分で社会保険を支払っているので当たり前といえるでしょう。
自分の勤め先で被保険者となる条件には、以下のものがあります。
①正社員は強制的に被保険者になる
②パートやアルバイトは通常の労働者の1週間の所定労働時間の3/4以上、かつ、1か月の所定労働日数の3/4以上であることを満たすと被保険者となる
上記のいずれかを満たすと、自分の職場で被保険者となるため扶養には入れません。
また、これらを満たさなくても、自分の働いている会社の従業員が501人以上の場合は、106万円の壁といわれる条件を満たすと被保険者となります。
106万円の壁とは
106万円の壁とは、自分の職場で被保険者として加入する義務が発生する条件です。
その条件は以下のものになります。
①従業員(被保険者)が501人以上
②1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
③雇用期間が1年以上の予定である
④学生でない(夜間、定時制は除く)
⑤月額88,000円以上
これら5つの条件があり、全て満たすと自分の職場で被保険者になる義務が発生します。
月額88,000円を年間で計算すると106万円となるので、106万円の壁と呼ばれています。
ちなみに、106万円の壁は残業代や通勤手当を含まずに計算します。
また、月額88,000円を超えたらすぐに社会保険に加入しなければいけないのではなく、時給や所定労働時間などを更改して、今後継続して社会保険の加入条件を満たすことが雇用契約書等に定められた段階で加入することになります。
さらに、自分の勤め先の従業員が500人以下の場合でも、勤め先で労使合意(労働者の1/2以上と事業主が合意)していて、かつ、②〜⑤を満たしていると社会保険への加入義務が発生します。
以上が、自分の勤め先で被保険者になる条件となります。
130万円の壁とは
上記で、自分の勤め先で被保険者となる条件を説明しました。
ここで説明するのは、夫の勤め先の健康保険で扶養に入れるかの判定となります。
夫の勤め先で被扶養者(扶養に入れる人)となる条件は以下になります。
被保険者と同居の場合、見込み年収130万円未満、かつ、被保険者の年収の1/2未満
被保険者と別居の場合、見込み年収130万円未満、かつ、被保険者の仕送りの額より少ない
130万円の壁と呼ばれる上記の条件を満たせば、被扶養者となることができます。
ここでの注意点は、年収が見込みの年収であることです。
これは、1月から12月の年収ではなく、現時点から今後1年間で130万円を超える見込みがあるのかで判断します。
被扶養者状況調査で見込み年収などを確認するのですが、その際に、直近3ヶ月の給与明細や所得証明書など、収入の分かるいずれかの書類の提出を求められます。
よくあるのは、直近3ヶ月の給与を確認するケースで、月額108,334円を3ヶ月連続で超えたら扶養から外れるといった判断となります。
判断の仕方は、夫の健康保険組合によって異なるので確認が必要です。
ちなみに、130万円の壁は通勤手当を含んで計算するので注意してください。
まとめ
社会保険の扶養の条件について紹介いたしました。
ポイントとしては、106万円の壁が自分の職場での被保険者となる条件なのに対し、130万円の壁が夫の勤め先の健康保険で扶養となれる条件であるということです。
ちゃんと整理して理解しないと、混乱してしまうので注意してください。